「11月から電気代が上がる」というニュースを見て、11月の請求書を開いて「変わっていない」と感じた人は多いはずです。それには理由があります。電気代は「使った月」と「請求される月」がずれるからです。
この記事では、2026年10月26日時点で確認できる一次情報をもとに、いつ、いくら上がるのか、なぜ上がるのか、検針票のどこを見れば自分の家の金額が分かるのかを順に整理します。最後に、値上がりを前提に今から打てる対策もまとめました。
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結論:上がるのは「11月使用分=12月の請求」
先に要点をまとめます。
- 大きく上がるのは10月使用分(11月の請求)。政府の電気・ガス料金支援が9月使用分で終了したためです
- 11月使用分(12月の請求)は、そこからさらに少し上がる見通し。燃料費調整額にLNG価格の上昇が反映されます
- 東京電力エナジーパートナーの平均モデル(従量電灯B・30A・260kWh)は、11月使用分で9,738円。10月使用分の9,561円から177円上がり、2か月連続で過去最高の見通しです
- 自分の家の金額は、検針票の「燃料費調整額」と「託送料金」の欄で確認できます。総額だけ見ると理由が分かりません
いつ上がる?「使用月」と「請求月」のズレを先に押さえる
電気代のニュースが混乱しやすいのは、「何月分」と言うとき、使用した月を指すのか請求される月を指すのかが媒体によって違うからです。
電力会社の説明では、料金は「検針日から次の検針日の前日までに使った分」に対して発生します。検針日は家庭ごとに違うため、11月分の料金が11月の請求に来る家もあれば、12月に来る家もあります。
| 呼び方 | 意味 | 請求が届く時期の目安 |
|---|---|---|
| 9月使用分 | 政府の補助が適用された最後の月 | 10月〜11月 |
| 10月使用分 | 補助が外れた最初の月。大手10社すべてで過去最高 | 11月〜12月 |
| 11月使用分 | LNG価格の反映でさらに上昇の見通し | 12月〜2027年1月 |
つまり、「11月から値上げ」という表現は、11月に請求が来る分(10月使用分)を指していることが多いということです。すでに10月の検針が終わっている家庭では、次に届く請求で上がり、その次でさらに少し上がる、という順番になります。
なぜ上がる?3つの要因を分けて理解する
値上がりの理由は1つではありません。混ざると「何が効いているのか」が分からなくなるので、分けて整理します。
要因1:政府の電気・ガス料金支援が9月使用分で終了
2026年8月検針分から10月検針分まで、政府の「電気・ガス料金負担軽減支援事業」による値引きが行われていました。東京電力エナジーパートナーの案内では、低圧供給で1kWhあたり3.50円の値引き単価が、2026年10月分の燃料費調整単価に含まれていたと説明されています。
260kWh使う家庭なら、3.50円×260kWhで910円。これがそのまま戻る形になります。9月使用分と比べた値上がり幅が大きいのは、この補助の終了が主因です。
要因2:11月1日からの託送料金の見直し
託送料金は、送電網や配電網を使うための料金です。2026年11月1日から、多くの一般送配電事業者でこの料金が見直され、電気料金に反映されます。東京電力エナジーパートナーも、11月1日から託送料金の変動分を反映する見直しを実施すると案内しています。
ここで注意したいのは、11月をまたぐ検針期間は「新旧の料金を日割りした合計」になるという点です。11月1日の前後で単価が変わるため、請求額がきれいに1か月分の新単価にはなりません。
要因3:燃料費調整額にLNG価格の上昇が遅れて反映
燃料費調整制度は、火力燃料(原油・LNG・石炭)の価格変動を電気料金に自動で反映する仕組みです。反映されるのは3〜5か月前の燃料価格で、貿易統計が確定した時点で単価が決まります。
2026年11月分の単価は、9月29日に各社が発表しました。東北電力の発表では、低圧の燃料費等調整単価が1kWhあたり▲6.29円(前月比+3.85円)。前月比で見ると単価は上がっています。ただし前月分には国の支援による値引きが含まれていたため、「補助の終了」と「燃料価格の上昇」が同じ数字に乗って見えることに注意が必要です。
いくら上がる?平均モデルと世帯別の目安
報道で使われる「平均的な家庭」は、実在する平均世帯ではなく、電力会社が料金比較のために決めたモデルです。東京電力なら従量電灯B・契約30A・月260kWh。自分の家がこの条件に当てはまるとは限りません。
東京電力エナジーパートナーの平均モデルの推移は次のとおりです。
| 使用分 | 請求の目安 | 平均モデル料金 | 状態 |
|---|---|---|---|
| 9月使用分 | 10〜11月 | 補助あり | 政府支援の最終月 |
| 10月使用分 | 11〜12月 | 9,561円 | 確定・過去最高 |
| 11月使用分 | 12月〜2027年1月 | 9,738円 | 試算・過去最高の見通し |
※11月使用分は、9月の貿易統計の速報値をもとにした試算です。確定値は今後発表される燃料費調整単価で少し変わることがあります。
世帯の人数や使用量が違えば、金額も動きます。他社の試算では、補助があった9月使用分と比べて、一人暮らし(160kWh)で月約990円、4人世帯(420kWh)で月約2,380円の値上がりという例が紹介されています。使う量が多い家庭ほど、1kWhあたりの差が積み上がる構造です。
検針票のどこを見ればいい?確認する順番
請求額の総額だけを見ても、何が上がったのかは分かりません。検針票やWebのご使用量のお知らせでは、次の順で見てください。
- 使用電力量(kWh)。前月・前年同月と比べる。気温が下がると暖房で増えるため、単価が同じでも総額は上がります
- 燃料費調整額。単価(円/kWh)と、使用量を掛けた金額。ここが補助の終了と燃料価格を反映する欄です
- 託送料金相当の欄。11月1日以降の検針分では、新旧の日割りになっている可能性があります
- 再エネ賦課金。2026年5月分から2027年4月分は、平均モデルで1,086円と案内されています。単価は全国共通で、家庭の努力では動きません
- 契約アンペアと料金プラン。基本料金はアンペア数で決まるため、使っていない容量を契約していると毎月固定で損をします
この5つを押さえると、「単価が上がったのか」「使いすぎたのか」「契約が合っていないのか」が切り分けられます。原因が分からないまま節約グッズを買うのが、一番もったいないパターンです。
今すぐ効く対策6つ(効果が大きい順)
値上がりが確定した前提で、今日から動けるものを効果の大きい順に並べます。
- 契約アンペアを見直す。30Aから20Aに下げれば基本料金が下がります。ただし同時に使う家電が多い家庭ではブレーカーが落ちるので、電子レンジ・ドライヤー・IHの同時使用を確認してから
- 料金プランを見直す。夜間の使用が多いなら夜間割引のあるプラン、昼間在宅が多いなら昼間単価の安いプランが合います。検針票の使用時間帯の内訳を見てから判断してください
- 暖房の設定温度を1℃下げる。エアコン暖房は設定温度を1℃下げると消費電力が約10%減るとされています。11月から3月まで続ければ影響は大きくなります
- 加湿器・空気清浄機の運転モードを見直す。ハイブリッド式の加湿器は、ヒーターありの標準モードとヒーターなしのecoモードで消費電力が1桁変わります。機種を買い替えるより先に、モードを変える
- 待機電力と照明を確認する。使っていない部屋の照明、使っていない家電のコンセント。1つあたりは小さくても、毎月固定で効きます
- 冬用の省エネ家電・防寒グッズを、値上がり前のセールで揃える。11月下旬からは各社の大型セールが始まります。必要なものを先に決めておけば、慌てて買う必要はありません
価格・在庫・キャンペーン内容は時期によって変わります。購入前に必ず販売ページの最新情報を確認してください。
やってはいけない対策
節約のつもりが、かえって損になるパターンもあります。
- まだ使える家電を、値上がりだけを理由に買い替える。電気代の差額が月数百円なら、本体価格の回収には数年かかります。まず使い方と契約を見直す
- 契約アンペアを下げすぎる。ブレーカーが落ちるたびに再設定が必要になり、生活の質が下がります。下げるなら同時使用の実態を確認してから
- 補助金の再開を前提に待つ。政府は2027年1〜3月使用分の補助を検討していると報じられていますが、2026年10月26日時点では決定事項ではありません。決まったとしても対象期間と金額は別です。待つのではなく、今の単価で生活できる形にしておくほうが安全です
- 「電気代が安くなる」とうたう機器を根拠なく買う。削減量の根拠(何W減るのか、1日何時間使うのか)が示されていない商品は、買ってから期待外れになりがちです
向く人・向かない人
この記事の対策は、すべての家庭に同じように効くわけではありません。
まず契約と単価を見直すべき人
- 毎月の請求額が増えているが、内訳を見たことがない
- 家族が増えた・減った、在宅時間が変わった
- 10年以上プランを変えていない
使い方の見直しが効く人
- 暖房を長時間つけている
- 加湿器・空気清浄機を24時間つけっぱなしにしている
- 使っていない部屋の照明や家電の電源を切っていない
この記事の対策では足りない人
- オール電化で給湯も電気。給湯の設定温度や時間帯別プランの見直しが必要です
- 事業用の電力を使っている。低圧の家庭向け単価とは仕組みが違います
- 集合住宅で契約アンペアを自分で変えられない。管理会社への確認が必要です
まとめ
- 大きく上がるのは10月使用分(11月〜12月の請求)。補助終了が主因
- 11月使用分(12月〜2027年1月の請求)はさらに少し上がる見通し。燃料費調整額にLNG価格が反映される
- 東京電力の平均モデルは11月使用分で9,738円。ただしこれは目安の家庭の数字
- 自分の家の金額は、検針票の「使用電力量」「燃料費調整額」「託送料金」「再エネ賦課金」「契約アンペア」の5点で確認できる
- 対策は契約→プラン→使い方の順。買い替えは最後
おすすめの探し方
電気代の見直しと一緒に、冬に向けて暖房まわりの設定を整えておくと効果が出やすいです。必要になったものを買い足す場合は、Amazonで冬の省エネ・防寒グッズを探すこともできます。価格や在庫は変わるため、購入前に販売ページの最新情報を確認してください。
まずは次に届く検針票で、燃料費調整額の単価(円/kWh)を確認してみてください。前月と比べて単価がどう動いたかが分かれば、値上がりの理由が「単価」なのか「使いすぎ」なのかを切り分けられます。
- 冬の電気代全体を先に見直したい人は、冬の電気代が高い理由と対策7つで、暖房・断熱・買い替えの優先順位を確認できます。
- 電気代の補助が終わった経緯は、電気代の補助金はもう終わった?で整理しています。
- 毎月の固定費ごと見直したい人は、固定費の見直し7つの順番で確認するのが早いです。
- 加湿器の電気代は方式で大きく違います。詳しくは加湿器の電気代の比較で確認できます。
よくある質問
Q. 11月の請求書はもう上がっていますか? A. 検針日によって変わります。10月使用分(補助が外れた最初の月)の請求が11月に届く家庭もあれば、12月に届く家庭もあります。検針票の使用期間を見て、どの月の使用分かを確認してください。
Q. 9,738円は確定した金額ですか? A. 確定ではありません。11月使用分は、9月の貿易統計の速報値をもとにした試算です。確定した燃料費調整単価は今後発表され、試算と少し変わることがあります。
Q. 政府の補助はまた始まりますか? A. 2026年10月26日時点では決まっていません。2027年1〜3月使用分の補助を検討しているという報道はありますが、対象期間・金額ともに未確定です。決まったとしても、それまでの請求は今の単価で計算されます。
Q. 電力会社を変えれば安くなりますか? A. 単価や基本料金が安いプランに変えれば下がる可能性はあります。ただし燃料費調整額はどの社でも燃料価格に連動して動くため、補助の終了や燃料価格の上昇分は基本的に同じ方向で反映されます。比較するときは、燃料費調整単価の扱い(上限の有無など)も確認してください。
Q. 契約アンペアを下げると何が起きますか? A. 基本料金が下がりますが、同時に使える電力が減り、ブレーカーが落ちやすくなります。電子レンジ・ドライヤー・IHクッキングヒーターなどを同時に使う家庭では、下げすぎると生活に支障が出ます。

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